Jonny and Julia's Home

ダイビング・日常のこと・変な生物のこと綴ってます・・

映画監督の行定勲さんのセミナー参加してきました。

★備忘録です★

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1968
年 熊本生まれ 
監督になったきっかけは、黒沢監督映画「影武者」の撮影現場の熊本城に父と行き、立ち入り禁止の中に子供だから大丈夫だろうと、背中を押されて中を見てきた時のこと。

家中の武士がリアルで、本当の戦場をタイムスリップしてみた感じで怖かった。
 
なのに、ジーパンの人が武士をリアルに疲れ果てた様子を作るため、汚している姿を見て、現実に戻され安心した。

その後、子供の時分は現場からは摘まみだされた。


 
1年後、映画化され、あの時の様子が、このシーンだとわかり、当時エンドロールのスタッフの数を数え206人!


将来、その中の一人になって、映画を作りたい!監督になりたいと思った。
もし黒沢監督とその時会っていたら、こうは思わなかったかも・・・
 
助監督を経験し、プロデユーサーの次に、監督のお声がかかった。
 
熊本の震災時、ちょうど仕事で熊本にいた。
半年後に映画化決定(以前から、熊本で撮影の話しは震災とは別にあった)
記憶は風化するもの未来のために残すには映画した方が良いと思った。
 
スタッフは本当に撮影して良いのか?罰あたりではないのか?葛藤があった。
プレハブに住んでいる80歳のお爺さん、人前では震災の現場撮影を了承したのに(かっこつけて)、二人になると本音を話す。


「俺の気持ちがわかるのか!それでも撮るのか!」

もともと申し訳ないと思っているスタッフは傷ついてしまった。
 
そのお爺さんの言葉をセリフに使わせてもらうことにし、お爺さんを説得
 
ドキュメンタリーってのは作る方も話す方もかっこつけて、本音を飲みこんでしまう。
フィクションはそこを乗り越えることができる。
見た人がどう乗り越えるのかが大事で、おしつけはしない
(好みがあるからねって話ではない)
 
作った作品の「外からの評価」と「自己満足」が一致しないことが多々
 

自分のことを「ラブストーリーの巨匠」とも言われても
自分ではこっちの作品の方が良かったのに・・・と思うことはたくさんある。
好きでそうなったわけではない
 
自分と一緒に仕事をする現場のスタッフは末端まで、目が死んでない。
みんな表情が真剣である。
無駄口も叩かない。

現場に遊びに来た人はピリピリ緊張して排他的になり、居心地が悪くなるくらい
 
自分は映画撮影嫌い
つらいし、思い通りの撮影するのは当たり前で、時間も予算も決められ、まずそもそも自分の企画は通らない

撮りたいものは、後回しにされるし、ハードル下げて、わかりやすい作品を作れ、可愛い作品、アイドル使え、とにかく壁だらけ、防衛だらけ
 
映画ってのはそもそも、誰かやりたい!と言って、人が集まれば作れるもの
しかし、それいいけど、こっちやらない?と提案される。

理由を聞くと、「原作が当たったから」

となると、人気の俳優使って、セリフつけて、音楽つけて、料理するような感じ


やりたくない仕事でも自分が主導権を握ってやるとまた違う。
ヒットすると次につながるので、あの映画嫌いとか言うと実はそんなことはない。
 
売れるための映画というと、スタッフはやる気をなくす、それが伝染していく。
スタッフにチャンスを与えるのが大事
 
例えば、「これどうしたらいいと思う?どっちがいいかな?」と聞く、「あ、今答えなくていいよ。お昼休み終わったら意見聞かせて」
となると、急に慌てて台本読んで、考えをまとめて、答えをもらう。
緊張感を与える。
こうゆうのはどうかな?と意見し合う。
今まで撮ればいいんでしょ的な態度が変わる。
 
耳を貸すかどうか?
言っても3回まで、やってくれない人もいる。
しかし、結果的に、後でみると良かったりする。
 
例えば、音響で音2下げてと言って、言われたまま仕事をするのは誰でもできるので俺でなくてもいいと思ってしまう。
自分の経験や考えもある。
自分のスタッフは各自の見せ場を持っているので、従順
 
現場の人の案を考えてきてもらう。
彼らは例えば20通り考えるときは、自分はその10倍の200通りを考えてくる。
実は演じる役者の案が解決することが多々ある。
そのために台本はあって、いつもせめぎ合い、
もめていては、給料がもらえない。フリーでやっている人たちがほとんどなので、束ねるのが難しい。
 
10年後作品を見て、ここに到達すると良かったなぁって思うことが多い
 
最初は近いゴールを見て、遠いところからゴールを狙う方が、達成感が大きい
ただし、現場崩壊することもあるので、一部スタッフの入れ替えはする。
 
 
 感想
 
日本の映画って、アメリカの映画と比較すると、少ない予算で、TVドラマの延長や、本やアニメでヒットしたからってのばかり。


だったらレンタルで良くない?劇場でみることないじゃんって思っていたのですが、裏話的な話を聞くと、監督もサラリーマンも似てるなって親近感わきました。
 
セミナーのタイトルで想像していた内容とはちょっとずれて、単なるトークショーみたいな感じでしたけど、自分の知らない興味深い面白い話でした。
またこんなセミナーあったら参加しようと思う。